第8回応募受付開始しました!

第7回

結果発表

このたびは、たくさんのご応募をいただき、まことにありがとうございました。

130編の応募作品を一次~三次選考にて厳正に選考し、四作品を最終候補作として選出いたしました。6月8日(金)に都内で行われました最終選考会にて審議の結果、大賞の該当作はなく、二作品へ優秀賞を授賞することに決定いたしました。 みずのまい先生、針とら先生にいただいた選評と、優秀賞受賞者二名の受賞コメント、最終選考会の様子(抜粋)をご紹介いたします。

今後も、小・中学生読者に喜んでもらえる、パワーあふれる作品をお待ちしております!

※選考についてのお問い合わせには一切お答えできませんので、なにとぞご了承ください。
※第8回の募集詳細につきましては、ホームページで告知させていただきます。

集英社みらい文庫大賞 受賞作

大賞:該当作なし

優秀賞『擬音つかいはフワリと進む』

衛藤圭(えとう・けい)

【受賞コメント】

この度は多くの作品から優秀賞に選んで頂き、ありがとうございます。自分が表現したい世界と、読者に面白いと感じてもらえるテーマが重なった物語を、いつか完成させたいと思いながら書き続けてきました。
完璧にはまだ遠いものの、今まで積み重ねたこと、考えてきたことは無駄ではないと励まして頂けたようで、とても嬉しく思います。これからは読者の皆様に心から楽しんでもらえる作品が届けられるよう、また新しい気持ちで頑張ります。

【あらすじ】

間戸部音(まとべ・おん)の11歳の誕生日、隣に三人の兄弟がひっこしてくる。カッコいいのに、なんとなく挙動不審なところもある三人。実は彼らは、音の両親の故郷「御言(みこと)の里」から、音の中に眠っている“ある力”を育て、「擬音つかい」にする目的でやって来たという…!

優秀賞『パティシエール・ソルシエールとメランコリックプリン』

白井ごはん(しろい・ごはん)

【受賞コメント】

来年は、新しいことに挑戦しよう。2017年の冬、そう思って挑んだのがみらい文庫大賞でした。小説の書き方は自己流で、そもそも自分だけではない、「誰か」のための物語を作ることが初めての経験。うんうん唸りながら書き上げたお話が、まさかの入賞。それこそ小説のようなお話です。選考にあたってくださった先生方、編集部のみなさま、本当にありがとうございました。これからも、自分と「誰か」のための物語を書き続けます。

【あらすじ】

ちとせはお菓子が大好きな小学5年生の女の子。11歳のちとせの誕生日、突然イケメンのお兄さん・クロが家にやってきて、ちとせがお菓子の魔女の血を継いだ「パティシエール・ソルシエール」だと知らされる。魔法のお菓子の力で人を癒やすことになり…!?

選評
「たったひとつの君との約束」シリーズ著者

みずのまい先生
『爆発しないと星は生まれない』

最終選考に残った4作品はとても上手で驚きました。ただ爆発していない。爆発できなかった理由はおそらく、4作品とも同じで、児童書=明るくいい話でなければいけないという、妙な固定観念に縛られているのでは? みらい文庫は面白ければなんでもありの急上昇レーベルです。思い切り爆発して、みらい文庫の星になってください!

●「ユウキとコトハ。」
面白くて斬新な要素がこれでもかと、ごろごろ転がっているのに、活かされていないのが非常に歯がゆい! そこさえ上手くいっていれば、大賞に推しました。頭でなく、体で書くことをおすすめします。
●「擬音つかいはフワリと進む」
初稿としては大上出来です。まだ、ご本人の中で擬音つかいというものが、定まってなさそうですが、一つ一つ押さえていけばいいだけです。
●「パティシエール・ソルシエールとメランコリックプリン」
とても上手です。一つ心配なのは、真面目で純粋な読者から「恵まれた主人公が自分(魔法修行)のために人助け」と反感を持たれる可能性があることです。ここをどうねじふせるか? 実はそれこそが作品の肝で、ごはんさんの本当の個性&武器かもしれません。
●「DASH~経験ゼロのバレー部員~」
子供が夢中になって読むというよりは、二十代が中学時代をなつかしむタイプの作品でした。これはこれで需要が出てくるかもしれませんが、みらい文庫用に、新しい作品、ぜひ、チャレンジしてみてください。
「絶望鬼ごっこ」シリーズ著者

針とら先生
『出会いとチャンスを大切に』

全体的に、児童書ジャンルに対しての「こんな感じかな?」という遠慮が感じられて、楽しく読ませてもらいました。まったくそんな感じではないと思うので、全員一度担当編集さんに頬を打たれてみてください。
改稿で本になる可能性があるものに優秀賞を、別作で挑戦してほしいものを選外としました。今後の編集さんとの化学反応次第だと思うので、出会いとチャンスを大切に。素敵な作家になってください。

●「ユウキとコトハ。」
主人公の頭の中だけで話がぐるぐるするので、読者が傍観者になってしまったかなあ。人と人がぶつからないと物語ははじまらないので、主人公と他人をぶつけていくべし。
主人公が他人や読者に対して、最後まで素直な気持ちを出さなかったのがさびしい。ぶりっ子は読者に好かれないので、ちゃんと化けの皮を剥いであげて。
●「擬音つかいはフワリと進む」
キャラクターたちの目的やスタンスがフワリとしてしまっているので、お話全体の読み味までフワリとしてしまった。
キャラクターは読者にとって物語世界への入り口で、入り口のドアが明確じゃないと、部屋を飾りつけても中に辿り着けない。ここはフワリではなく、ピシリを意識してみては。
●「パティシエール・ソルシエールとメランコリックプリン」
せっかくお菓子の話なのに、プリン1つじゃ物足りないかなあ。もう1つか2つ、お菓子を出してみてほしかった。
あとは主人公をもっと苦労させてみて。苦労しながら頑張る主人公の方が、読者に応援してもらえるよ。主人公とクロのキャラを立てていくと、面白くなりそうな気がします。
●「DASH!!~経験ゼロのバレー部員~」
物語の展開力の高さは1番。YA小説としてはいいものになりそうだけど、児童文庫としては読者のイメージが浮かばなかったのが残念。
1つ1つのエピソードやキャラへの踏みこみが浅いので、もっと深掘りしてみてください。深掘りの仕方が、味や個性になると思います。
選考会の様子
「ユウキとコトハ」

-あらすじ-
小学五年生の琴葉は、太りぎみで自分に引け目を感じている女の子。
クラスのイケメン男子・(風間)祐輝に秘かに片思い中だが、可愛い双子の妹、希美が祐輝に出す予定のラブレターを発見し……!?

描写のうまさ、文章力の高さは光る。主人公が他人と関わって、成長する様をきちんと描いてほしい。

みずの先生
「おもしろくなる要素は結構たくさん入っていて、すごくいい線をいってるな、と思いました。ただ、この作品が例えばシリーズ化したときに、この主人公ではキャラクターが少し弱いかなと。要素はすごく転がっているので、もっと爆発しちゃえ、っていう感じですね。双子の妹がもっと強烈だったり、主人公のキャラクターも「太っている」という特徴をむしろ渡辺直美さんとか森三中みたいな…デートだけどこの腹が!とかってドタバタして、彼は私をどう思ってるのかしら…って夜空の星を見てたりすると、泣けて笑えて結構いいと思うんですけど。」
針とら先生
「僕は、もっと主人公を他人とぶつけ合わせてみてほしかったですね。自分の世界に閉じこもっていて、頭の中だけで話が進んでしまっているような印象。ただテーマとして妹と自分を比較して劣等感を抱えたりっていうのは、児童書としてはすごく王道だと思うし、共感してくれる子は多いと思う。ただ、そういう主人公であったら、他人と関わったり苦難にぶつかったりしてその殻を破っていくところが物語の読みどころになっていくかなと。タイトルから見ても、「勇気と言葉」っていうのがテーマだと思うんです。勇気を持って、自分の考えや気持ちを言葉にしていくのがゴールにあって、そのために、ひとつひとつなにかのハードルをクリアしていくっていうのがお話になるのかなと思いました。」
編集F
「そうなんですよね。主人公の琴葉のひとり相撲感が…強いですよね。ただ、すごくディテールの描写がうまいなと思いました。違うクラスの妹の希美が、自分のクラスに来て風間くんの席に座ってる、それがなんか嫌だとか。妹の服を借りて、ちょっとかわいい格好したら気分があがるとか。そういうディテールの積み重ねでキャラは作られていくと思うので、キャラクターを描く素養は非常にあると思います。」
編集K
「私は恋愛ものとして読ませたいのかな、と思っていたんですが、針とら先生のおっしゃった自分探し的な読ませ方もしたかったのかもしれないですね。恋愛ものとして考えると、二人の距離がどういうふうに縮まっていくのか、という部分に読者は読んでいてドキドキすると思うんですが、そこが弱い印象でした。双子の妹の話や手紙のエピソードや…周辺の話が多かったですね。ただ、ページどんどんとをめくらせる力はあって、書きなれている印象がしました。」
みずの先生
「やっぱり振り幅の弱さが…右に行ったり左に行ったりの迷いがないから…ですよね。」
編集K
「そうですね。雰囲気的にはすごくいいんですけど、あまり揺さぶられない。ドキドキ、ワクワク感がもっとほしかったです。」
編集I
「児童書や児童文庫の読者層って、やはり、主人公に自分を重ねながら物語を読むことが多いと思うんです。そういう意味で、読者がこの主人公に共感して、応援して、風間くんと結ばれてほしいって思うかというと、難しいかなと。というのは、一人称作品なんですけど、自分と風間くん、そのお兄さんと母親以外の人に対する描写が「ディスる」方向だらけなんですよね。人の欠点を書くことによって主人公はそうじゃない、と不器用さや純粋さを浮かび上がらせたいのかもしれないですが、むしろ主人公の性格が良くないように見えてしまっている。たとえば、人の手紙を勝手に開封してしまうところや盗んだりする場面、普通だったら越えないタブーを簡単に超えさせておきながら、それに対する罪悪感や、自分への嫌悪感がまったく描かれない。盗みや間違いが児童向け作品のテーマになることはあるけれど、止むに止まれぬ過程や罪悪感、葛藤などが描かれることで読者を引き込むことができるのではと思います。文体は比較的カジュアルな一人称で最近の児童文庫を研究したような跡は見られますが、地の文も主人公の性格とは合っていないような気がしました。」
針とら先生
「たぶん、等身大の心理を書くところが、ちょっと感覚が違うのかなと。どちらかというともっとフィクションに振りきってラブコメに寄せるとか、それか、ホラー的なエグイ心理 を描く方にいくとか、こういうキレイめな心理のところを書く人ではないような気がしました。」
みずの先生
「ここからひと皮向けるか…馬鹿になれるかどうかなんですよね。児童書作家の一番の資質って…馬鹿になれることかなって。中途半端におもしろいよりも、審査員にこいつは何だ、こんなふざけたものを書きやがって、とかって言われて、最終選考まで残る、みたいな…結局そういうなんだかよくわからないけど、魅力のある人が階段を登っていくような気がしているんですよね。」
「擬音つかいはフワリと進む」

設定、発想の目の付け所がいい。その発想を活かすキャラクター、ストーリー作りを。

編集K
「設定は面白いと思います。ただ、ずっと里とのやりとりに終始しているのがもったいないなと思いました。擬音つかいになった後どうなるのか…、新たな敵と戦うとか、別に目指すところがある方が、もうちょっと世界が広がったのかなという気がしましたね。擬音つかいになった後の展開が見たかったです。」
針とら先生
「擬音に目をつけたのは、目の付け所がいいと思いました。のんびり屋の主人公が得意なのが「フワリ」とか、好戦的な子は「ドカ」とかそういう細かい設定はおもしろかったですね。伏線を張ったり駆け引きを描いたり、エンタテインメントとして読者をもてなそうという姿勢は伝わってきました。あと、文章やキャラの造形、かき分けとか、全体的に児童文庫をよくも悪くもすごく研究しているな…と。ちょっと研究しすぎちゃっているような気がしました。読者の興味は、キャラクターやストーリーであって、「擬音」はあくまでフックにすぎないと僕は思うのですが、そこにこだわりすぎてしまっていて、キャラの深掘りやストーリーの展開がなかなかされないまま、擬音まわりの話が続くので、読者が求めているところとは別のところですごく頑張ってしまったような印象を受けました。」
みずの先生
「私は、作品としてはかなりできていて、上手だなぁと思って読んでいたんですが、一個だけ創作上で失敗しているなと思うところがあって。主人公の音ちゃんが、擬音つかいになるって初めから決め込んで書いちゃってるんです。ごく普通の小学生、11歳の子が、「お前、擬音つかいの才能あるぞ」って言われたときに、リアルにどう反応するか。え?ってなるし、もし擬音つかいに今自分がなったとしたら、こんなにいいことばっかりに使わないだろうって。普通の11歳の子が擬音つかいになったときに、なにがどう起きるかを、一回、ちょっとお話とは離れて真面目に考えてみたらたぶん、ほとんどのつっこみどころは消えていくなっていうくらい、話としては、すごくよく出来てるし、いい作品だなって思いました。ただ、ある児童文庫作品に目のつけどころが似ているな…と。他のジャンルに似てるとかだったらいいんですけど、同じ児童文庫のシリーズものに似ているっていうのは、避けたほうがいいのかな…と。」
編集K
「既存の作品を超えるおもしろい作品であれば…やる意味はあると思いますね。」
編集F
「擬音語・擬態語ってたくさんあるし、身近なものなので、うまいこと思いついたな、とは思ったんですけど、逆にたくさんあるからこそ、この能力が漠然としすぎちゃうんです。異能力は、どこからどこまでのことができて、どこからはできないのか、その能力を使った事によって反動やリスクがあったりするのか…っていう設定がきちんとわからないと、例えば「強い擬音つかいが来た!」と言われても、どう強くて怖くて大変な存在なのかが想像できないんですよね。能力のバリエーションが多すぎて、なんでもできちゃう感じがあったので、能力を絞ってしっかり冒頭から見せて、この能力なら私も欲しい、僕も使ってみたい、とあこがれてもらうところまで引き出せるといいかなと思いました。そこがあれば、もっと楽しい作品になったんじゃないかと思います。」
編集I
「言葉に対して想像力を駆使して、それを超能力として使う、っていう発想はすごくいいと思いました。3兄弟の性格設定や、末っ子についての描かれ方も、物語のアクセントになっていてよかったです。ただ、そもそもの設定や構想をもっと掘り下げてほしかった。どうして音の両親が逃げつづけるほど、力を得させることが嫌だったのかがわからない。アイデアは決して悪くないのに、詰めが甘いと思いました。作者が書きたいひとつひとつの場面を支えるためには、丁寧な状況設定やキャラクター描写を積み重ねないと、エピソードとしてちぐはぐなものになってしまいます。今一度、全体の構造を誰もがなるほどと思えるものに再構築した上で書き直してほしいです。」
「パティシエール・ソルシエールとメランコリックプリン」

全体の構成力はある。自分にしか書けない独自の描写、キャラクター作りを心がけて。

編集I
「お菓子や料理や魔法って、応募作品としては比較的多いモチーフです。身近で簡単に書けそうに思えるのかもしれないけど、実は難しいんですが・・・。この作品は、お菓子を作っている場面はちゃんと独自の描写でおいしそうだし、キュイジーヌに入るという設定があることで、小学生にはハードルの高い、材料を買い揃えたりするところもクリアできるし、うまく作ったなと思いました。お友だちを助けるっていうのも、ありきたりですけど丁寧にまとめられているし、物語の構成も破綻がないほうかなと思います。」
編集K
「すんなり入っていけておもしろかったです。ただ主人公のキャラに今ひとつ強さが感じられなかったのと、もっとお菓子作り以外は何もできないダメキャラとか、何か読者にとっつきやすい魅力があるとよかったかなと思います。クロのキャラももっと女の子が好きそうな要素を持たせても良かった感じがしました。お菓子を作る魔女ってかわいいし、カバーのイメージが付きやすいと思いましたね。キャラ設定と話の流れをもっとスムーズにできるといいと思います。」
編集I
「全体的に謎を匂わせすぎているのも気になりました。例えばお母さんに対して少し距離のある描写なんだけど、理由が大して書かれていないし、伏線なのかもわからない。クロの設定や、キュイジーヌの中でのルールも、いろいろとちぐはぐなところがある。でも全体的には、こういう世界観が書きたいんだっていうのはわかるし、それを最後まで貫いてるという意味では、評価ができると思いました。」
みずの先生
「主人公一人だけが魔法を使えるって、結構実は難しくって。なぜかというと勉強やスポーツで今この戦国時代を必死に生きている女の子たちからすると、ずるいじゃん、でおわっちゃうときがあるんですよ。アニメとかでも昔は一人の女の子が変身してやるパターンが多かったけど、今は5人くらいでチーム作って、命がけで敵と闘うじゃないですか。とにかく一人だけ魔法が使えるとずるいじゃんってなっちゃう女の子たちをどうねじ伏せていくかっていう…結構今の時代の魔法ものって難しいと思うんですよね。それでしかも時代が、現代じゃないですか。例えばファンタジー設定で魔法学校とかだったらなんでもありだと思うんですけど、この設定が、女の子たちの間で賛否両論別れてくるなって思って。あと、すごい素敵なお菓子が作れるから魔法使いみたいなパティシエっていうのはいいと思うんですけど、本当に魔法でお菓子がつくれちゃうっていうのが、今の子からするとどうなのかな、ついていけないんじゃないかなぁっていう危惧があります。」
針とら先生
「悩みを抱えた子どもたちがいて、それを主人公がお菓子の魔法で解決していく、お悩み解決モノ的な物語になるのかなと思って読んでいて。現状では…お菓子がテーマの物語の割にはプリンしかないなっていうのがあって…で事件がひとつしかないのは、この分量にしては話の密度がちょっと物足りないというか。冗長な描写が多いかなと。分量はこのままでお菓子、事件、困りごとを抱えた人を、最低ひとつか、できればふたつぐらい足せるようにすると、贅肉の部分が取れて、もっとおもしろくなってくるんじゃないかなと、全体の構成としては思いました。」
編集F
「設定の細かいところはいろいろあるかと思いますが、ファンタジックな世界観を説明しながら、スムーズにお話に入っていく感じは非常に上手だったと思いました。女の子のあこがれの部分もたくさん入ってましたし。変身願望であるとか、フランス語のおしゃれな感じとか…そのあたりの世界観を作っていく前半部分はよかったと思います。でも、後半、ちょっともったいないなと思うところがありました。主人公が救う相手が、どういう悩みがあって、どんな魔法のお菓子を作って食べさせてあげれば助かるかっていう、ちょっとした推理もの的な展開を期待してたんですけど、お菓子の本が出てきて、ぱらぱらっとページがめくれて「これ!」って提示されちゃう。で、「プリンを作れ」って言われて、プリンを作りました、そして、そのプリンをクロが運んでくれるってなると…「主人公なんもしてないじゃん」っていう感じがして…。救う対象者のゆいかちゃんとはお友達なので、主人公のキャラや性格だからこそ解決できるなにかがあるとよかったかなと。物語の中で作るお菓子も、プリンばかりじゃなくて、せっかく「キュイジーヌ」に行けるんだから、普段では作れないようなものを、がんばって作ってみたりして、その部分も読んで楽しいものになるとよかったんじゃないかなと思います。そこが少し物足りなかったところです。でも、全体的には非常に楽しく読めた感じです。」
みずの先生
「楽しく読める作品だからこそ、結局天から与えられたもので、言われるままに、プリン作って、そのプリンもイケメンの手伝いで作ったプリンでって、恵まれすぎている印象がある。もっと自分のためにやるか、人を救けるごとに自分がなにかを失っていくとか、主人公が少し損をしないと、一部の読者から、しらけてしまうおそれがある。」
針とら先生
「主人公がお菓子が大好きっていう描写が多いんだけど、そういう一方向だけの描写が多いと、読者が押し付けに感じてしまうような気がしていて。主人公がお菓子が好きなら、相棒は甘い物なんて大嫌いというようにして、その中で、相棒を説き伏せるようにお菓子が好きっていうのが出せたら、読者に押し付けがましさを感じさせずに、素直に乗ってもらえるかもと思いました。あとお菓子作りの描写がたくさん書き込んであるんだけど、ファンタジーの物語でそれをやってもあんまり効果的にならないのかな、と。ざっくりカットするか挿絵の1枚にまとめるとか…魔法のお菓子なら、どんどんすごいファンタジーに寄せて、そこの部分におもしろさを出すとか、そういうさばき方をしないとなかなか効果的にならないのかなという感じはしていて。でも、全体的には、おもしろくなりそうな気はしました。」
みずの先生
「どこかで見たような魔法の描写、どこかで聞いたようなお菓子の描写が多いのも気になりました。自分が好きなものを書いていると、テクニックじゃなくてハートの部分で…必ずなんか、びっくりするような表現、言葉って出てくるはずなんです。そういうことを意識してみてほしいですね。」
「DASH!! 〜経験ゼロのバレー部員〜」

物語の展開力が評価できる。うまくまとまっているが、児童文庫向けではないかも?
-あらすじ-
勢いで中学のバレーボール部に入ってしまったサトシ。背が低く、しかも自分だけ"未経験者"だった。先輩の復帰や、新たな1年生の入部で、自分がいる意味を見失いそうになるが…⁉

針とら先生
「物語の展開力とか、お話を作ろうとう意識の高さを、評価しました。彼女にふられてバレー部に入部したところからはじまって、廃部しそうなのにやってこない先輩がいて、その先輩の因縁の相手が主人公のライバルで。うまく回り始めたところで、新たな経験者が入ってきて、主人公の居場所がなくなっちゃうとか…新しいエピソードとかキャラを展開させて物語に山谷をつけよう、読者を飽きさせないようにしようっていう姿勢が…この4作品の中だと一番感じたので…そこは評価しました。あと、試合の描写も、初めてレシーブを受けたときの爽快感だったり、そういうものはわりと伝わってくるし、試合中に焦ってチームメイトと一緒に先生に怒られてしまったり、ライバルが挑発してきたり、一試合の中でも描写とか演出をして、ちゃんと読ませるものにしていた。いまいっぽなところは…男の子向け、女の子向けっていうのを考えたときに、たぶん男の子向けにならないんじゃないかなっていうのがあって。高校生ぐらいまでいくとまた別なんですけど、小学校の男の子って、共感よりも憧れながら読む傾向が強いと思うんです。わりと心情描写が強いので、男の子主人公だけど男の子向けにならず、といって女の子に好まれるようになっているかはわからず。そのあたりの宙ぶらりん感が、残念なところかな。」
編集F
「主人公の男の子が「彼女がいた」、「元カノがいる」、その時点で男読者からすると応援できないですよね。」
みずの先生
「そういうもんなんですね(笑)」
編集F
「サブタイトル通り…ゼロから叩き上げるキャラにしたかったんだと思うんですけど、だったら、なにももってない、彼女もいたことない、じゃないと、それはゼロじゃないだろって感じになると思うんですよね。片想いしてる女の子がいて、その子のためにがんばるとかだったら応援できるんですけど…。男の子向けに書いてるのか女の子向けに書いてるのか、それによって全然違いますが、男の子向けだとしたら、主人公設定で非常に損をしているなと思います。ただ、周りのキャラクターは魅力的で、同級生のバレー経験者の挑発的な感じとか、先輩、先生のキャラも説得力があって、よかったなと。そういう周りのキャラも主人公のキャラも一生懸命考えられていて、キャラ作りが上手な方だなと思いました。あとひとつ、一番もったいないなと思ったところは、主人公はリベロを目指すわけですけど、リベロにするんだったら、その恋敵=彼女をとられた相手はエーススパイカーにしたほうがいいんじゃないかなと思うんですよね。恋敵がセッターだと、セッターとリベロはサーブのときしか直接対決しないわけです。「自分がリベロになって、あいつのスパイクを全部拾ってやる!」ぐらいの感じじゃないと、燃えないと思うんで…。一生懸命作ったキャラを、うまく噛み合わせられてない感じがしたのが残念でした。」
針とら先生
「書き方が、ヤングアダルトの作法な気がとてもしていて。小学生メインの文庫層とマッチするかはこのままだとちょっとわからないですね。もっと小学生にもわかりやすいシンプルなフックが入れられるといいのかなという気がしました。筆致としてはすごい淡々としていて、小説というよりも脚本とかを書いている人なのかなという印象があったんですけど、メリハリがもうひとつ欲しくて。ひとつのエピソードとか一人のキャラに関して、もっと踏み込んで書いたほうが、小説としての強さはでるのかなと思いました。」
みずの先生
「今の話しで…男子には不評な話なんだなって(笑)。私も面白いけどみらい文庫にあってるのか、あってないのか、男の子が読むものなのか女の子が読むものなのか、両方なのか っていうところがわからない。中学生が主人公の話って、大人が、中学生のころってよかったねって振り返って読むか、中学生がのめり込んで読むか、どっちかで勝負しなきゃいけないんですけど、たぶんこれは、20代後半の人が、中学生に戻りたいね…と思って読むときの匂いが強いんですよね。なぜかっていうと、小学生、中学生がのめり込むってなるともっと、馬鹿みたいなことをするしかないんですよ。超リアル熱血か、思い切って魔球とか、美人の監督、優勝しないと家族がピンチになるとか。そういうちょっと馬鹿みたいなことをしないとみらい 文庫では難しいかなというのがあって。作家自身の編集者能力が求められますね。」
針とら先生
「もう少し突っ込むと、主人公が自分の居場所がなくなることをすごく恐れているので、書き込まなくてもいいんですけど、その心理の根っこを作者が理解していたほうがいいのかなって。経験ゼロのものに挑戦するっていうことが、主人公にとってどんな意味があるのか。それを最後に得られたっていう話になったら、物語としてのラインが明確になっていくのかなっていう気はします。あとはラストにもっと読者をスカッとさせるものがほしくて。振られたところから始まった物語だから、彼女が復縁をしかけてくるけど、バレーに夢中でそれどころじゃないって、逆に振っちゃうとか。主人公がバレーを通して別の世界を知って、最後なにを脱皮するかみたいなところがあったら、もっとカタルシスになったかなと思います。でもそっちを掘り下げていくと、どんどん児童文庫から離れて、YAの方に行っちゃいそうな気もあって。難しいな、というところが全体の感想です。」
編集K
「私もこれすっごく面白くて。ただ、児童文庫じゃないよな…っていうのがずっと気になってました。そして、これは誰に向けて書かれたものなのか、女子向けなのか、男子向けなのか。それによってテーマも書き方も全然違ってくると思うし、狙いきれない作品になってしまうと思います。ただ、この話に出てくるキャラたちのチーム感みたいなものとか、掛け合いはとても良かったです。」
編集I
「私にはスポーツもののわりには熱さが感じられなかったです。文体も淡々としていて、嬉しい描写、悲しい描写、悔しい描写、いろいろあるんですけど、すべてが同じテンションで進んでいる。ストーリー、キャラクターにも、この筆者ならではのオリジナリティが感じられない。たとえば、主人公の元カノが好きになった男子、結構嫌なやつなんだけど、嫌なやつを書くときってむしろ工夫が必要と思うのですが、あまりにも分かりやすすぎる描き方で、むしろリアルで嫌なヤツはこんなストレートじゃない嫌なヤツだわ、みたいな。全体的に工夫が感じられないというか。冒険してない分、破綻もないんだけど、もっとこの人ならではのものが欲しかったです。」

★第三次選考を通過され、最終選考会にすすまれましたのは、以下の4作品です。

※敬称略、順不同

タイトル 氏名(ペンネーム)
ユウキとコトハ。 内村 佳保
パティシエール・ソルシエールとメランコリックプリン 白井 ごはん
擬音つかいはフワリと進む 衛藤 圭
DASH!!~経験ゼロのバレー部員~ 村澤 美怜

★第二次選考を通過されましたのは、以下の7作品です。

※敬称略、順不同

タイトル 氏名(ペンネーム)
ドロン探偵事務所の変! 梅本 晃
鼻毛くん -鼻毛の のろいー 月森 乙
ユウキとコトハ。 内村 佳保
パティシエール・ソルシエールとメランコリックプリン 白井 ごはん
擬音つかいはフワリと進む 衛藤 圭
ゾンビバスターズ! 永坂 みゆき
DASH!!~経験ゼロのバレー部員~ 村澤 美怜

★第一次選考を通過されましたのは、以下の19作品です。

※敬称略、順不同

タイトル 氏名(ペンネーム)
爆食い天使ガブりえる ときわまこと
ドロン探偵事務所の変! 梅本 晃
反魂の札 神保 丹
つっこめ! トンデモドッジ 大葉 よしはる
鼻毛くん -鼻毛の のろいー 月森 乙
服部くんは忍者に違いない 四ノ宮 まお
妖怪だって、恋したい! 三倉 周
コイカツ! 月島 晴海
四少年少女時間旅行記 清水 海結
キミと繋ぐ 結城 ハルヒ
ユウキとコトハ。 内村 佳保
虹色のサーフガール 富田 マナナ
パティシエール・ソルシエールとメランコリックプリン 白井 ごはん
擬音つかいはフワリと進む 衛藤 圭
ゾンビバスターズ! 永坂 みゆき
ぱぶりっく・あい 成美 ニロ
魔物、歓迎でござる はせ みちこ
新垣さんの進級は体育祭で決めるから 吉岡 昌輝
DASH!!~経験ゼロのバレー部員~ 村澤 美怜