by 編集S
読者に寄りそうといっても、大人の筆者が子どもの読者に寄りそった作品をつくるのは簡単なことではないですよね。
具体的に、児童文庫で活躍する作家さんたちはどうやって作品をつくるのでしょうか?
ある作家さんが実践している2つの方法をご紹介しましょう。
1つは、自分が小学生だったころを「想起」すること。小学生のころ、どんなことに怒ったり、泣いたり、笑ったり、悲しんだりしたか。どんな言葉に傷ついて、勇気づけられたか。子どものころの記憶をたどり思いだしてみてください。
もう1つは、現在の小学生がどんなことに夢中なのか「想像」すること。
みらい文庫は創刊して9年が経ちましたが、この9年間の中でも小学生をとりまく環境はずいぶん変わりました。
いまの小学生はどんな物語に心がおどるでしょうか。「想起」と「想像」。この2つの作業をていねいにすれば、きっと作品づくりのヒントが浮かぶはずです。
by 編集T
みらい文庫の読者は小中学生。
みらい文庫大賞では大人が子どもに読ませたい作品ではなく、子どもが自発的に読みたくなるようなエンタメ作品が受賞しています。
子どもが自発的に読みたくなる作品ってどんな作品でしょうか?
これまでの受賞作は、すべて読者と同世代の小中学生が主人公です。
高校生や大人が主人公の物語の受賞作はありません。もちろんみらい文庫はおもしろければなんでもアリなので、年齢設定も自由!「先生」や「歴史上の偉人」など大人が主人公のタイトルも刊行しています。しかし、多くの読者が夢中になる作品には、読者と同じような境遇だったり、読者が感情移入するキャラクターが必ずいます。
登場人物のキャラクターづくりの第一歩は、読者が共感できる年齢設定から始まります。
by 編集O
読者が共感できるキャラクターが物語の中でどう動くかというストーリーづくりも大切な要素です。
みらい文庫のオリジナル人気シリーズを読んでみると、どの作品にも「主人公の成長」ストーリーが描かれています。
みらい文庫大賞では、ストーリーの中で「主人公の成長」が描かれているかは選考ポイントの1つです。多くの読者は主人公に共感しながら物語を読みます。主人公がぶつかる「壁」や「障害」をのりこえようと奮闘する姿に共感したり、のりこえた姿に感動したり。
どんなキャラクターにもそのキャラクターなりの成長があったり、気づきがあるからこそ、おもしろい物語になるはず。
ストーリーづくりに悩んだときには、主人公のどんな成長を描きたいかを考えてみるのも1つの方法です。
by 編集R
これまでの受賞作をふりかえると、冒頭の書き出しから物語にひきこまれる作品が多い印象です。
冒頭1ページ目から「おもしろそうな物語が始まりそうだ」と思わせる工夫をしてみてください。
さらに、読み始めて2、3ページ目ですでに「これは主人公が何をする話か」がわかると自然とページをめくる手も進みます。
限られた文字数の中で、読者の心をつかむためには1行目からムダにできません。とにかく、「つかみはOK!」といえるような冒頭1行目からワクワクする文章を期待しています。
また、読み終わったあとに「これがどんな話だったか」をひとことで説明できる作品。つまり、テーマがシンプルに伝わる作品は読み終えたあとにも印象に残りやすいと思います。
by 編集Y
いろんな編集者がいろんなポイントを挙げていますが、みらい文庫の原則は、おもしろければなんでもアリ!
読者のド肝をぬくようなおもしろい作品であれば、どんな作品でもOKです!
参考になるところは活かしつつ、自分なりのやり方で描いた自分だけの物語で子どもたちの心に残る作品をお待ちしています!