第9回 募集中!

みらい文庫大賞からのデビュー作家たち

過去の受賞者の作品と、デビューまでの道のりについて、インタビューを紹介します。

『この声とどけ!』シリーズ

神戸遥真(こうべ はるま)

第5回優秀賞受賞

受賞したときのこと、教えてください
最終選考に残ったという連絡はメールでいただきました。そこから結果発表まで三週間近くあり、結果発表の当日は落ち着かなくて朝から家の大掃除をしていました。電話で優秀賞受賞の連絡をいただいたときは、スマホを持つ手が震えたのを覚えています。
なぜみらい文庫に応募したのか
もともと中高生が主人公のヤング・アダルト小説を中心に書いており、みらい文庫大賞の応募要項に「小・中学生に向けた」との文言があったからです。
児童向けの文学賞はやはり小学生向けのものが多く、中学生向けの作品を応募できる賞は多くないので応募してみることにしました。
これまでの投稿歴は
10年くらい前から本格的に公募にチャレンジするようになり、みらい文庫大賞受賞時はちょうど108回目の応募をしたところでした。
とにかく色んな賞に応募しまくりました。複数回応募した賞だと、電撃小説大賞、講談社児童文学新人賞、ノベル大賞、ポプラ社小説新人賞などがあります。
アイディアは何から着想を得た
「この声とどけ!」は、しゃべるのが苦手な女の子がバンドのボーカルになる、というアイディアが出発点になっています。しゃべるのが苦手ならバンドより放送委員などの方がよいのでは?と担当さんからコメントをいただき、放送部というモチーフに変えました。そのあとはアナウンサーや言葉の本をたくさん読んだり、実際の中学校の放送部を取材させていただいたりして肉づけしていきました。
書籍化するにあたって苦労したことは
受賞作は美化委員会をモチーフにしたお話だったんですが、こちらでは書籍化が難しいということになり、新規に企画案を出し直すことになりました。そして、最初に出した企画案は即日全ボツでした(笑)
また、放送部というモチーフに決まったあとも大きくプロットを変えることが何度かあり、紆余曲折の末に現在の「この声とどけ!」の形になりました。
受賞したものの受賞作の書籍化もなく、大きな方針変更をくり返すことになったのが何より苦労した点ですが、その甲斐もあって「この声とどけ!」がこうしてシリーズとして世に出たので本当に報われたと思います。
原稿を書く際に気をつけていることは
とにかく「楽しく読めること」です。ストーリーそのものもそうですが、描写やセリフ一つとっても、面白いと思ってもらいたいです。音の響きやテンポ感が面白くなるよう工夫しています。あとは、私自身、明るい日常系のコメディが好きなので、ちょっとした会話でも楽しくなるよう頭をひねっています。
小説だからこそ、文章だからこその楽しみみたいなものも感じてもらえたら嬉しいです。
応募者に何かひと言!
勉強や鍛錬も大事にしつつ、何より書き続けていればいつかはいいことがあるかもしれません。公募歴100回を越えたときには私も心が折れかけましたが、108回目でいいことがありました。
そして、受賞してもそこからが本番です。たくさん書いてきた経験にこそ救われることがたくさんあります。ぜひ楽しみながら書き続けてください!

『かなわない、ぜったい。』シリーズ

野々村 花(ののむら はな)

第3回優秀者受賞

受賞したときのこと、教えてください
最終選考に残った時点で一度お電話を頂いて、そこから受賞の連絡を頂くまでは毎日そわそわしていました。仕事帰りに歩いている時に優秀賞に決まったとご連絡があって、すごく嬉しかったのを覚えています。
なぜみらい文庫に応募したのか
小中学生の女の子が楽しく読んでくれるようなお話を書きたいと思っていて、かわいい挿絵をつけてもらえるみらい文庫に応募しました。(そして今、本当にかわいいイラストを描いてもらえて幸せです……)
あと、応募した時には意識していなかったのですが、わたしは小学生の時から『りぼん』の大ファンだったので、りぼんに広告を載せてもらえた時もすごく嬉しくて、みらい文庫大賞に応募してよかった!!とつくづく思いました。
これまでの投稿歴は
高校生の頃から、いろんな賞に投稿していました。一番最初に応募したのは、コバルト文庫のノベル大賞です。その後は、ライトノベルや一般文芸やマンガや絵本の賞にも投稿しました。でも、途中まではノリノリで書けても、最後まで書ききることがなかなか出来なくて、投稿していた期間のわりに、回数は少なめだったと思います。一次選考を通ることもほとんどなくて、二次選考を通過したのは、みらい文庫大賞が初めてでした。
アイディアは何から着想を得た
自信がなくて一歩ふみだせない女の子が勇気を出す話が書きたいと思っていて、楽しく最後まで読んでもらえるように、アイドルと恋愛と、ちょっとミステリーっぽい要素とを混ぜ込みました。
書籍化するにあたって苦労したことは
私が頂いた優秀賞は、受賞したら書籍化確定の大賞とは違い、「ちゃんと直せたら本になるかも!」という感じだったので、とにかく必死でした。応募原稿の段階では中学生の設定だった主人公を小学生に変えて、ストーリーも大幅に変更して、「もう書き直すより最初から書いたほうが早いんじゃ…」という状態でした。でも、編集者さんが感想やアドバイスをくれて、とっちらかってた話が少しずつ整っていく感じが嬉しくて、大変だったけど楽しかったです。その時の経験のおかげで、「書き始めた話を最後まで書く」ことが少しできるようになった気がします。
原稿を書く際に気をつけていることは?
とにかく読みやすく! を心がけています。具体的には、一文を短めにして、改行を多めにして、あんまり読書が得意じゃない子にも最後まで読んでもらえたらいいなぁと思っています。
あと、冒頭が大事! って教わったので、本屋さんで手に取って中身をチラッと見てくれた子が、続きを読みたいと思ってくれるような冒頭を書きたいと思っているのですが……、ほんと難しいです。
応募者に何かひと言!
今のみらい文庫大賞は、年に2回もチャンスがあったり、二次選考を通過したら選評がもらえたりと、とっても魅力的な賞だと思います。過去の受賞作を見ても、対象年齢さえ注意すれば、色んなジャンルの作品にチャンスがありそうです! ご自身の納得のいく作品が、締め切り日までに仕上がりますように☆! みらい文庫読者の1人として楽しみにしています!

『生き残りゲーム ラストサバイバル』シリーズ

大久保開(おおくぼ ひらく)

第5回優秀賞受賞

受賞したときのこと、教えてください
賞をいただいたのは大学を卒業して、2年が過ぎたときでした。携帯電話に集英社みらい文庫編集部からの留守番電話が残っており、もう一度電話がかかってくるまで、かなり緊張したことを覚えています。
なぜみらい文庫に応募したのか
ふだん応募していないジャンルに挑戦してみようというのと、作品募集のタイミングがちょうど良かった、というのが理由です。実は児童文庫の賞に投稿をしたのは、このときが初めてでした。
これまでの投稿歴は
児童文庫以外の賞には何度か投稿したことがあり、短編で小さな賞をいただいたことがあります。上記のとおり、児童文庫の賞に投稿をしたのは、みらい文庫が初めてです。
アイディアは何から着想を得た
スティーブン・キング(リチャード・バックマン名義)の「死のロングウォーク」という作品です。昔から「こういう作品がもっとあればいいのに」と思っていたので、その思いをこめて書かせていただきました。
書籍化するにあたって苦労したことは
余計な描写を削って、いかにテンポ良く進めるのか、という部分です。それまでは自分の書きたいものを書きたいだけ書く、という感じで、あまり意識していなかったのですが、「読者」に読まれることをとにかく意識しました。
原稿を書く際に気をつけていることは
見せ場のシーンを作ることです。極端な話、ストーリーを全然覚えていなくても、見せ場のシーンだけは忘れられないぐらい強烈なものにしようということを意識しています。
応募者に何かひと言!
『作品としての完成度』も大切ですが、『自分の個性』を前面に押し出してみるのもひとつの手だと思います。「コイツって、この作品以外にどういうのが書けるの?」と思わせればこっちのものです。頑張ってください!

『渚くんをお兄ちゃんとは呼ばない!』シリーズ

夜野せせり(よるの せせり)

第6回優秀者受賞

受賞したときのこと、教えてください
みらい文庫大賞には、第3回から応募していたのですが、2次通過した年から担当さんがつきました。プロットも見てもらっていましたが、幾度もボツになり、たくさん鍛えていただきました。受賞作を書いているときは、とにかくがむしゃらに何度も直しながら頑張りました。
最終に残ったという連絡があってからは、ドキドキして生きた心地がしませんでした。
受賞の連絡をいただいた時は、ほっとしてへなへなと力が抜けたのを覚えています。
なぜみらい文庫に応募したのか
もともと私は中学生ぐらいの年頃の子が主人公の話を書くのが好きで、児童文学や一般、ライトノベルなどの賞に応募していました。ですが、児童文庫の賞には出したことがありませんでした。ためしに書いてみようかと思い立ち、みらい文庫大賞の過去の選評を読んだところ、すごく面白く、ここに出そうと決めました。
子ども向けのエンタメは、書いてみたらとても楽しくてハマってしまい、毎年投稿するようになりました。
これまでの投稿歴は
児童文学、一般、ライトノベルなど。最初のころは手当たり次第に投稿しては玉砕していました。かなりの数だと思います。すべては思い出せません……。
毎年のように出していたのは、講談社児童文学新人賞、集英社コバルトのノベル大賞、みらい文庫大賞、新潮社の「女による女のためのR18文学賞」などです。2か月に一度締切りのあるコバルト短編小説新人賞にも出し続けていて、入選し、雑誌に作品を載せていただきました。
アイディアは何から着想を得た
私は、常に、ぼんやりと「こういう話を書きたいな」「こういう人物を書きたいな」「こういう街が舞台の話が書きたいな」などと考えています。うっすらとでも考え続けていると、ある時、アイデアがひらめくことがあるので、忘れないうちにネタ帳に書きこみます。 散歩をしたり料理をしたり、全然関係ないことをしている時に思い浮かぶことが多いです。ずっと空想ばかりしているので忘れ物やうっかりミスが多いです……。
何も浮かばないときは、ネタ帳を見返して書けそうなものを探します。
書籍化するにあたって苦労したことは
やはり、改稿に次ぐ改稿です。小説を「商品」として世に出すというのは、大変なことなのだなあと思い知りました。
特に悩んだのは登場人物の名前! 「渚くんをお兄ちゃんとは呼ばない」の、渚くんの兄の名前を書籍化にあたって変えることになったのですが、なかなか決まらずに苦労しました……。それに、タイトルやあとがきも(あとがきは、毎回苦労しています)。
でも、自分の作品にイラストがついたり、カバー見本を見せてもらったり、広告用にまんが原稿を描いていただいたり、動画をつくっていただいたり。まるで夢の中にいるようでした。発売されてからも、しばらくは、ドキドキしすぎて心臓がもつかどうか心配でした! そして、やたらと書店をうろうろしていました。あやしい客だと思われていたはずです。
原稿を書く際に気をつけていることは?
とにかく、「読みやすく」。読書に苦手意識を持っている子も、すいすい読めるような文を書くのが目標です。だからといって、ぱさぱさと味気ない文章にならないように気をつけている(つもり)です。書きあがってからも、スマホで横書き表示にしたり、紙に印刷したりして、何度も読み返して直します。それでもミスが見つかるのはいったい何故なのか……?
あと、途中で「ひょっとしてこの話はおもしろくないんじゃないか」などと思って詰まってしまうことも多いんですが、気にせず最後まで書くことにしています。後で直せばいいのです……!
応募者に何かひと言!
子どもの本を書くのは楽しいです! 私もデビューしたばかりなので、たいしたアドバイスはできませんが。楽しんでどんどん書いていきましょう、とだけ。どんどん書いてどんどん出すしかないので。私も負けないようにがんばります!