第9回 結果発表!

みらい文庫大賞からのデビュー作家たち

過去の受賞者の作品と、デビューまでの道のりについて、インタビューを紹介します。

『チーム怪盗JET』シリーズ

一ノ瀬 三葉(いちのせ みよ)

第3回期待賞

受賞したときのこと、教えてください
母と自宅にいたときに電話がかかってきたことを、今も鮮明に覚えています。
「期待賞だって! 賞がもらえた!」と大喜びする私の横で、母は泣いていました。
ただ、イレギュラーな賞で書籍化が約束されていたわけではないので、「これからもっと頑張らなきゃ夢は叶わないんだ」と、不安も感じました。
なぜみらい文庫に応募したのか
みらい文庫をはじめとした児童文庫は、本屋で棚一面にずらりと並んでいることが多くて、その前で、子どもたちが夢中になって立ち読みしてるんですよね。
「受賞すれば自分の本も並ぶんだ」「いつかはここに」と、夢を抱かずにはいられませんでした。
これまでの投稿歴は
大学を卒業してから物語を書きはじめ、同時に投稿もはじめました。
「子ども向けの物語を書きたい」ということはハッキリ決まっていましたが、対象年齢や書き方は何もわからない状態。とにかく読みまくり、書きまくりながら勉強しました。
絵本原作や童話、児童文学などの賞にかたっぱしから応募して、みらい文庫で期待賞をいただいたのは、通算26回目の挑戦作でした。
アイディアは何から着想を得た
「妖怪ものを書いてみたい!」というところからスタートして、パッとうかんだのは、子どもの頃アニメで見てた「トイレの花子さん」。でも、いわゆるテンプレ的な花子さんじゃ面白くないなと思い、「花子さんは女子高生」という発想に至りました。
そこに、都市伝説の「隙間女」から着想した『すきま世界』という舞台をくっつけて、物語を展開していきました。
調子に乗って要素をつめこみすぎたせいで、話はとっちらかっちゃいましたが……。
書籍化するにあたって苦労したことは
結局、『トイレの(すきまの)花子さん』では書籍化には至りませんでした。
受賞後、担当さんについていただいたのですが、原稿を直し続ける作業はとにかく辛かったです。必死に直して、結局「書籍化は難しい」と告げられたときは本当に心が折れそうになりました。
その後、企画を出してはボツの嵐をいただくという地獄にハマりましたが、それもなんとか乗りこえ、『チーム怪盗JET』シリーズを出していただけることになりました。
原稿を書く際に気をつけていることは
『キャラ』と『テンポ』です。キャラの個性や魅力を引き出すことを意識して、場面やセリフを選ぶようにしています。
それから、物語の立ち上がりはできるだけ早く、大きくうごかしていく、というのも心がけています。
応募者に何かひと言!
私は才能があるタイプでも経験豊富でもなかったので、投稿時代はとにかく過去の受賞作や人気作、創作ハウツー本なんかを読んで勉強してました。
あまり頭でっかちになるのは良くないと思いますが、自分に何が足りないのかを客観的に分析できるようになると、必要な努力の方向性も見えてきた気がします。
何歳からでもプロとしてデビューできる夢のある世界です。一緒に頑張りましょう!

『FC6年1組』シリーズ

河端 朝日(かわばた あさひ)

第3回・第4回応募

受賞したときのこと、教えてください
私は受賞したわけではなく、2度の一次選考通過という結果でした。ホームページの選考結果を見ていて自分の名前があったときは素直に嬉しかったですが、二次選考に残れなかったことが悔しくもありました。
まずはとにかく二次選考を通過したい、と応募を続けていた中で編集部の方から声をかけていただきました。電話でお話をしている最中も「もしかして夢なんじゃないか?」と信じられない気持ちでした。
なぜみらい文庫に応募したのか
初めて応募したとき私は中学3年生で、その頃は本屋や図書室でも集英社みらい文庫の作品をよく手にとっていました。読んでいた本の最後にみらい文庫大賞応募のページをたまたま見つけたのが、この賞を知ったきっかけです。
より自分に近い読者に向けた作品を募集している賞だと思い、集英社みらい文庫大賞へ応募を決めました。
これまでの投稿歴は
主に児童小説やライトノベルの賞へ投稿していました。その中でも集英社みらい文庫大賞は、中学3年生の頃から4年連続で応募していた賞です。自分が1年でどう成長したのか、どんな変化をしたのか、ということを形にするためにあらゆるジャンルの作品で応募を続けました。
アイディアは何から着想を得た
応募作品を書く時は、自分の好きなもの、一番関心があったものを出発点にしていました。歴史だったり部活動だったり作品ごとにバラバラでしたが、興味があるからこそ調べたり空想したりできていたのだと思います。
そして、同じものが好きな誰かが楽しめるようにイメージを膨らませました。『FC6年1組』も、私がサッカー経験者だったことから、もしもサッカーに夢中だった小学生の自分に向けて書くとしたら、どんな小説が面白いのか? と考えたところから始まっています。
書籍化するにあたって苦労したことは
私は作品を大勢の人に読んでもらうという意識が足りていませんでした。読者を冒頭から惹きつけるインパクト、ワクワクさせる展開、誰も予想できないどんでん返し……。思いついたアイデアを自分の中で楽しむものではなく、読者に楽しんでもらうものとするための工夫に苦労しました。
書いている自分が小説の世界を楽しもうと思いながら、あくまでも「読者」に向ける作品を書いている、という気持ちを持ち続けるようにしています。
原稿を書く際に気をつけていることは?
ひとりよがりにならないことです。「こんな表現が面白いかも」「こんな風にしたらかっこいいかも」と書いているときはノリノリでも、読む人には伝わらなかったり意味がわからないと思われたりすることがよくあります。
応募していたときは、作品を家族や友人に読んでもらっていました。自分では気付けないところを指摘してもらうと、冷静に作品を見られるようになると思います。
応募者に何かひと言!
小説に正解はありません。誰かを楽しませるための作品として自由奔放に、時には大胆不敵に書いてみるのはどうでしょうか。もちろん、応募規定はきちんと守りながらですが。
私もまだ勉強中です。みらい文庫大賞からどんな作品が読者に届くのか、首を長くして待っています!

『この声とどけ!』シリーズ

神戸遥真(こうべ はるま)

第5回優秀賞受賞

受賞したときのこと、教えてください
最終選考に残ったという連絡はメールでいただきました。そこから結果発表まで三週間近くあり、結果発表の当日は落ち着かなくて朝から家の大掃除をしていました。電話で優秀賞受賞の連絡をいただいたときは、スマホを持つ手が震えたのを覚えています。
なぜみらい文庫に応募したのか
もともと中高生が主人公のヤング・アダルト小説を中心に書いており、みらい文庫大賞の応募要項に「小・中学生に向けた」との文言があったからです。
児童向けの文学賞はやはり小学生向けのものが多く、中学生向けの作品を応募できる賞は多くないので応募してみることにしました。
これまでの投稿歴は
10年くらい前から本格的に公募にチャレンジするようになり、みらい文庫大賞受賞時はちょうど108回目の応募をしたところでした。
とにかく色んな賞に応募しまくりました。複数回応募した賞だと、電撃小説大賞、講談社児童文学新人賞、ノベル大賞、ポプラ社小説新人賞などがあります。
アイディアは何から着想を得た
「この声とどけ!」は、しゃべるのが苦手な女の子がバンドのボーカルになる、というアイディアが出発点になっています。しゃべるのが苦手ならバンドより放送委員などの方がよいのでは?と担当さんからコメントをいただき、放送部というモチーフに変えました。そのあとはアナウンサーや言葉の本をたくさん読んだり、実際の中学校の放送部を取材させていただいたりして肉づけしていきました。
書籍化するにあたって苦労したことは
受賞作は美化委員会をモチーフにしたお話だったんですが、こちらでは書籍化が難しいということになり、新規に企画案を出し直すことになりました。そして、最初に出した企画案は即日全ボツでした(笑)
また、放送部というモチーフに決まったあとも大きくプロットを変えることが何度かあり、紆余曲折の末に現在の「この声とどけ!」の形になりました。
受賞したものの受賞作の書籍化もなく、大きな方針変更をくり返すことになったのが何より苦労した点ですが、その甲斐もあって「この声とどけ!」がこうしてシリーズとして世に出たので本当に報われたと思います。
原稿を書く際に気をつけていることは
とにかく「楽しく読めること」です。ストーリーそのものもそうですが、描写やセリフ一つとっても、面白いと思ってもらいたいです。音の響きやテンポ感が面白くなるよう工夫しています。あとは、私自身、明るい日常系のコメディが好きなので、ちょっとした会話でも楽しくなるよう頭をひねっています。
小説だからこそ、文章だからこその楽しみみたいなものも感じてもらえたら嬉しいです。
応募者に何かひと言!
勉強や鍛錬も大事にしつつ、何より書き続けていればいつかはいいことがあるかもしれません。公募歴100回を越えたときには私も心が折れかけましたが、108回目でいいことがありました。
そして、受賞してもそこからが本番です。たくさん書いてきた経験にこそ救われることがたくさんあります。ぜひ楽しみながら書き続けてください!

『かなわない、ぜったい。』シリーズ

野々村 花(ののむら はな)

第3回優秀者受賞

受賞したときのこと、教えてください
最終選考に残った時点で一度お電話を頂いて、そこから受賞の連絡を頂くまでは毎日そわそわしていました。仕事帰りに歩いている時に優秀賞に決まったとご連絡があって、すごく嬉しかったのを覚えています。
なぜみらい文庫に応募したのか
小中学生の女の子が楽しく読んでくれるようなお話を書きたいと思っていて、かわいい挿絵をつけてもらえるみらい文庫に応募しました。(そして今、本当にかわいいイラストを描いてもらえて幸せです……)
あと、応募した時には意識していなかったのですが、わたしは小学生の時から『りぼん』の大ファンだったので、りぼんに広告を載せてもらえた時もすごく嬉しくて、みらい文庫大賞に応募してよかった!!とつくづく思いました。
これまでの投稿歴は
高校生の頃から、いろんな賞に投稿していました。一番最初に応募したのは、コバルト文庫のノベル大賞です。その後は、ライトノベルや一般文芸やマンガや絵本の賞にも投稿しました。でも、途中まではノリノリで書けても、最後まで書ききることがなかなか出来なくて、投稿していた期間のわりに、回数は少なめだったと思います。一次選考を通ることもほとんどなくて、二次選考を通過したのは、みらい文庫大賞が初めてでした。
アイディアは何から着想を得た
自信がなくて一歩ふみだせない女の子が勇気を出す話が書きたいと思っていて、楽しく最後まで読んでもらえるように、アイドルと恋愛と、ちょっとミステリーっぽい要素とを混ぜ込みました。
書籍化するにあたって苦労したことは
私が頂いた優秀賞は、受賞したら書籍化確定の大賞とは違い、「ちゃんと直せたら本になるかも!」という感じだったので、とにかく必死でした。応募原稿の段階では中学生の設定だった主人公を小学生に変えて、ストーリーも大幅に変更して、「もう書き直すより最初から書いたほうが早いんじゃ…」という状態でした。でも、編集者さんが感想やアドバイスをくれて、とっちらかってた話が少しずつ整っていく感じが嬉しくて、大変だったけど楽しかったです。その時の経験のおかげで、「書き始めた話を最後まで書く」ことが少しできるようになった気がします。
原稿を書く際に気をつけていることは?
とにかく読みやすく! を心がけています。具体的には、一文を短めにして、改行を多めにして、あんまり読書が得意じゃない子にも最後まで読んでもらえたらいいなぁと思っています。
あと、冒頭が大事! って教わったので、本屋さんで手に取って中身をチラッと見てくれた子が、続きを読みたいと思ってくれるような冒頭を書きたいと思っているのですが……、ほんと難しいです。
応募者に何かひと言!
今のみらい文庫大賞は、年に2回もチャンスがあったり、二次選考を通過したら選評がもらえたりと、とっても魅力的な賞だと思います。過去の受賞作を見ても、対象年齢さえ注意すれば、色んなジャンルの作品にチャンスがありそうです! ご自身の納得のいく作品が、締め切り日までに仕上がりますように☆! みらい文庫読者の1人として楽しみにしています!

『生き残りゲーム ラストサバイバル』シリーズ

大久保開(おおくぼ ひらく)

第5回優秀賞受賞

受賞したときのこと、教えてください
賞をいただいたのは大学を卒業して、2年が過ぎたときでした。携帯電話に集英社みらい文庫編集部からの留守番電話が残っており、もう一度電話がかかってくるまで、かなり緊張したことを覚えています。
なぜみらい文庫に応募したのか
ふだん応募していないジャンルに挑戦してみようというのと、作品募集のタイミングがちょうど良かった、というのが理由です。実は児童文庫の賞に投稿をしたのは、このときが初めてでした。
これまでの投稿歴は
児童文庫以外の賞には何度か投稿したことがあり、短編で小さな賞をいただいたことがあります。上記のとおり、児童文庫の賞に投稿をしたのは、みらい文庫が初めてです。
アイディアは何から着想を得た
スティーブン・キング(リチャード・バックマン名義)の「死のロングウォーク」という作品です。昔から「こういう作品がもっとあればいいのに」と思っていたので、その思いをこめて書かせていただきました。
書籍化するにあたって苦労したことは
余計な描写を削って、いかにテンポ良く進めるのか、という部分です。それまでは自分の書きたいものを書きたいだけ書く、という感じで、あまり意識していなかったのですが、「読者」に読まれることをとにかく意識しました。
原稿を書く際に気をつけていることは
見せ場のシーンを作ることです。極端な話、ストーリーを全然覚えていなくても、見せ場のシーンだけは忘れられないぐらい強烈なものにしようということを意識しています。
応募者に何かひと言!
『作品としての完成度』も大切ですが、『自分の個性』を前面に押し出してみるのもひとつの手だと思います。「コイツって、この作品以外にどういうのが書けるの?」と思わせればこっちのものです。頑張ってください!

『渚くんをお兄ちゃんとは呼ばない!』シリーズ

夜野せせり(よるの せせり)

第6回優秀者受賞

受賞したときのこと、教えてください
みらい文庫大賞には、第3回から応募していたのですが、2次通過した年から担当さんがつきました。プロットも見てもらっていましたが、幾度もボツになり、たくさん鍛えていただきました。受賞作を書いているときは、とにかくがむしゃらに何度も直しながら頑張りました。
最終に残ったという連絡があってからは、ドキドキして生きた心地がしませんでした。
受賞の連絡をいただいた時は、ほっとしてへなへなと力が抜けたのを覚えています。
なぜみらい文庫に応募したのか
もともと私は中学生ぐらいの年頃の子が主人公の話を書くのが好きで、児童文学や一般、ライトノベルなどの賞に応募していました。ですが、児童文庫の賞には出したことがありませんでした。ためしに書いてみようかと思い立ち、みらい文庫大賞の過去の選評を読んだところ、すごく面白く、ここに出そうと決めました。
子ども向けのエンタメは、書いてみたらとても楽しくてハマってしまい、毎年投稿するようになりました。
これまでの投稿歴は
児童文学、一般、ライトノベルなど。最初のころは手当たり次第に投稿しては玉砕していました。かなりの数だと思います。すべては思い出せません……。
毎年のように出していたのは、講談社児童文学新人賞、集英社コバルトのノベル大賞、みらい文庫大賞、新潮社の「女による女のためのR18文学賞」などです。2か月に一度締切りのあるコバルト短編小説新人賞にも出し続けていて、入選し、雑誌に作品を載せていただきました。
アイディアは何から着想を得た
私は、常に、ぼんやりと「こういう話を書きたいな」「こういう人物を書きたいな」「こういう街が舞台の話が書きたいな」などと考えています。うっすらとでも考え続けていると、ある時、アイデアがひらめくことがあるので、忘れないうちにネタ帳に書きこみます。 散歩をしたり料理をしたり、全然関係ないことをしている時に思い浮かぶことが多いです。ずっと空想ばかりしているので忘れ物やうっかりミスが多いです……。
何も浮かばないときは、ネタ帳を見返して書けそうなものを探します。
書籍化するにあたって苦労したことは
やはり、改稿に次ぐ改稿です。小説を「商品」として世に出すというのは、大変なことなのだなあと思い知りました。
特に悩んだのは登場人物の名前! 「渚くんをお兄ちゃんとは呼ばない」の、渚くんの兄の名前を書籍化にあたって変えることになったのですが、なかなか決まらずに苦労しました……。それに、タイトルやあとがきも(あとがきは、毎回苦労しています)。
でも、自分の作品にイラストがついたり、カバー見本を見せてもらったり、広告用にまんが原稿を描いていただいたり、動画をつくっていただいたり。まるで夢の中にいるようでした。発売されてからも、しばらくは、ドキドキしすぎて心臓がもつかどうか心配でした! そして、やたらと書店をうろうろしていました。あやしい客だと思われていたはずです。
原稿を書く際に気をつけていることは?
とにかく、「読みやすく」。読書に苦手意識を持っている子も、すいすい読めるような文を書くのが目標です。だからといって、ぱさぱさと味気ない文章にならないように気をつけている(つもり)です。書きあがってからも、スマホで横書き表示にしたり、紙に印刷したりして、何度も読み返して直します。それでもミスが見つかるのはいったい何故なのか……?
あと、途中で「ひょっとしてこの話はおもしろくないんじゃないか」などと思って詰まってしまうことも多いんですが、気にせず最後まで書くことにしています。後で直せばいいのです……!
応募者に何かひと言!
子どもの本を書くのは楽しいです! 私もデビューしたばかりなので、たいしたアドバイスはできませんが。楽しんでどんどん書いていきましょう、とだけ。どんどん書いてどんどん出すしかないので。私も負けないようにがんばります!