みらい文庫大賞

第12回

結果発表

第12回となります、みらい文庫大賞。今回は284本ものご応募をいただきました。たくさんの力作をお寄せいただき、ありがとうございました。

応募作のレベルは総じて高く、応募者の皆さまが児童文庫というジャンルをよく研究してくださっているのが感じられました。
今、子どもたちの間で流行っている題材や、注目を集めているトピックスを取り入れている作品が多くみられ、読者を楽しませたいという意欲が伝わってきました。

二次選考を通過した8作品は、いずれも題材選びにチャレンジ精神が表れた作品でした。どれも大ヒット作につながる可能性を秘めています。
完成度としての差を分けたのは、リアリティのバランスだったように思います。
子どもたちは、本の世界ならではの夢のあるストーリーを好む一方で、ひょっとしたらこんなことが自分にも起こりうるかも、こんなことが起こったら自分も同じように考えるだろうという部分に現実味を感じない作品には、真剣にのめりこんでくれません。
大賞受賞作の「相方なんかになりません!」はお笑いの大会に臨む際の気持ち、また練習の様子などもちゃんと小学5年生らしいものになっていたのが、素晴らしかったです。

これからも「みらい文庫」では、意欲あふれる書き手の皆さまと一緒に、子どもたちに向けた新しいエンターテインメントを生み出し続けていきたいと思っております。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

※選考についてのお問い合わせには一切お答えできませんので、なにとぞご了承ください。
※第13回の募集詳細につきましては、ホームページで告知させていただきます。

第12回集英社みらい文庫大賞 受賞作

大賞『相方なんかになりません! ~転校生は、なにわのイケメンお笑い男子!?~』

遠山彼方(とおやま・かなた)

【受賞コメント】

わたしは、人に笑ってもらうことが好きです。
しかし、生粋の大阪人である母には敵わないと思っていました。
母に根づく大阪魂にあこがれ続け、このお話を書きました。それがこんな素敵な賞をいただけるなんて、夢のようです。
大人しくってひっこみ思案で冗談を「言う」ことが苦手なわたしですが(自称)、もしかしたら「書く」ことはできるのかもと、自信につながりました。
母のように、誰かを「笑かす」ことができるような、そんなお話を書いていけたらと思います。
本当にありがとうございました。

【あらすじ】

ある日、小5の心晴のクラスに大阪からの転校生・西橋くんがやってきた。彼はお笑いが大好き。ふだん、自由すぎる弟や妹につっこみを入れている心晴は、西橋くんにそのつっこみセンスを買われてしまう。朝の会での自己紹介リベンジ、漫才コンテストへのチャレンジなど、事あるごとに、「おれの相方になってくださぁーいっ!」とアプローチされる心晴。「相方なんかに、なりません!!」と断りつつも、結局は手伝うハメになり…!?

【選評】

ハードルの高い「お笑い」がテーマですが、流行りものを追うのではなく、自分が書きたいものを書くという姿勢に好感が持てました。お笑い好きの西橋くんと心晴のかけ合いがとにかく楽しい。西橋くんもただふざけているだけでなく、「人をコケにする笑い」にはのらないというキッパリとした態度や熱さが垣間見れるのもよかったです。2人の関係を友情ものとして描くのか、恋愛ものとして描くのかをはっきりさせると、描き方も変わってくるのでは。

優秀賞『コスモ☆スケッチ!』

琴織ゆき(ことおり・ゆき)

【受賞コメント】

この度はこのような素敵な賞にご選出いただき、誠にありがとうございます。
本は私にとって、たくさんの夢と想いに出会える場です。
わくわくする気持ち、寂しい気持ち、応援したくなる気持ち──。
そんな多彩な想いにあふれた本が大好きな気持ちは、子どもの頃からずっと、大人になった今でも変わりません。
かつて憧れた世界を自分も描きたいと思ってから、はたして何年経ったのか……。
ようやく、最初の一歩。スタートラインに立つことができました。
今後はさらなる夢と想いにあふれた世界を紡げるよう、より一層努力を重ねてまいります。

【あらすじ】

プラネタリウムを経営する父を持つ「七星(ななせ)」(星座が大好きな中学1年生)。ひょんなことから星座を召喚する『星使い』となって、星の力を喰う『ホシグイ』と戦うことになってしまう。本来星使いとなるはずだったイケメンの男の子・「北斗」くんが、同居しながら七星のボディガードをしてくれることになったけれど、前途多難! そんなある日、親友との関係に悩む七星の前に、 ホシグイが現れて……!?

【選評】

児童文庫をよく読んで研究してきており、作者の熱意を感じました。地の文、展開ともに非常にテンポがよく、ファンタジー設定も入ってきやすいようにテクニック的に工夫されている印象を受けました。女の子同士の友情のさじ加減、召喚される星座たちのキラキラなキャラクターも読んでいて楽しく、バランスよく配置できていて、レベルが高かったです。

最終候補作

※敬称略、順不同

『永瀬くんの言うことはゼッタイ!』内田八尋
入賞まであと一歩でした。読者が憧れるシチュエーションや爽快感のあるシーンなど、読み手をワクワクさせるエネルギーを感じます。いろんな要素を盛り込もうとしたせいか、キャラクターの性格や行動原理に一貫性がなくなってしまったのはもったいなかったです。
『ユーチューバーになりたい!』三浦海
入賞まであと一歩でした。主人公以外のキャラクターにも個性・魅力があり、そしてそれが動画制作の役割分担にも生かされているのには感心しました。淡々と話が進む感があるので、出だしから読者を惹きつける起伏のある展開が欲しかったです。
~第二次選考通過作品 以下、順不同~
『プロデュース、はじめました!』吉田詩織
物語の狙いは面白かったです。なぜ主人公がプロデューサーに選ばれたのか、その理由にもう少し説得力が欲しかったです。
『科学+探偵→138』うみのあきら
盛り込んだギャグ要素が、良い効果をあげていません。可能性は感じる題材なので、扱う事件から考え直してみては?
『女装少年は占いがお好き』よこすかなみ
女装男子という題材だけでなく、自己肯定感というテーマも時代を捉えていると思います。文章、構成ともまだ粗いところが目立ちます。
『小説みたいな恋を、きみと』紺谷綾
中1の男の子が日本一売れている作家だという設定は、普通に描くには無理があります。文章は読みやすいのですが、クセのなさが没個性的な方向に作用してしまいました。

★第二次選考に通過されましたのは、以下の8作品です。

※敬称略、順不同

タイトル 氏名(ペンネーム)
プロデュース、はじめました! 吉田詩織
科学+探偵→138 うみのあきら
女装少年は占いがお好き よこすかなみ
コスモ☆スケッチ! 琴織ゆき
永瀬くんの言うことはゼッタイ! 内田八尋
相方なんかになりません!
~転校生はなにわのイケメンお笑い男子!?~
遠山彼方
小説みたいな恋を、きみと 紺谷綾
ユーチューバーになりたい! 三浦海

★第一次選考に通過されましたのは、以下の32作品です。

※敬称略、順不同

タイトル 氏名(ペンネーム)
プロデュース、はじめました! 吉田詩織
音羽と共に 井澄せな
戦うぶっし!魔物退治は一年生 桃香りり
雨の日は探偵びより みずとくさ
科学+探偵→138 うみのあきら
近くて便利! スプーキーリサイクル とまり珈琲
女装少年は占いがお好き よこすかなみ
コスモ☆スケッチ! 琴織ゆき
夢で世界を広げたい! 睦月いすず
月の音色を響かせて 森野ゆら
ウチのお隣にはオカン系男子が住んでいます! 清水セイカ
わたしの秘密のキューピッド 月ヶ瀬杏
初恋キャッチコピー あかまつまゆ
永瀬くんの言うことはゼッタイ! 内田八尋
パティスリー・リバーサイノへようこそ! 阿須山アスコ
お悩み解決! アンちゃんと博士のへんてこ研究所 笹木映
カイイノキヲク 乾翔太
相方なんかになりません!
~転校生はなにわのイケメンお笑い男子!?~
遠山彼方
小説みたいな恋を、きみと 紺谷綾
なぞなぞの国ナゾナリア なぞえもん
ユーチューバーになりたい! 三浦海
インセクターエックス ひなたひつじ
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