アキラの目に涙がにじむ。
「ごめんハルカ……ハルカの弟もごめん。みんなもごめん。おれ、軽い気持ちで言ったりやったりしたことで、相手がどう思うかなんて、今まで深く考えたことなかった。マジでごめん」
アキラが泣くところなんて初めて見た。
胸が痛くなって、思わずナツキとミフユに顔を向ける。
二人も苦しそうな表情をしていた。
「……こっちこそごめん。アキラなんてひどい目にあえばいい。絶対呪ってやるって思ってた。でも、誰かに嫌な思いさせてスッキリしようとしても、全然スッキリなんかしなかったよ。そんなことしたって、きっと弟も喜ばないし」
「ハルカ……」
「それでいいんだよ、ハルカ」
「わたしもそう思う」
「ナツキ、ミフユ……」
「マジでごめんな、ハルカ。ハルカの弟にも謝らないと。……許してくれるかどうかはわからないけど」
「ううん。あたしこそごめんね。今度、弟にも会ってあげてくれる?」
アキラはうなずくと、「反省する」ボタンをタップした。
それから一年後の夏休み。
あたしたち――あたし、ナツキ、ミフユ、アキラ、それに弟の五人は遊園地に遊びに来ていた。弟の手術は無事に成功し、普通に歩いたり走ったりできるようになったんだ。
あの後アキラが会いに来てくれて、真剣に励ましてくれたおかげだった。
実は弟もアキラのことをうらんではいなくって、ずっと会いたかったみたい。最初からもっとちゃんと、アキラとも弟とも話し合ったらよかったな。
「あっ、お化け屋敷あるよ。入ってみる?」
ミフユが言う。わたしは首を横に振った。
「もう怖い話は、とうぶんこりごりだよ」
みんなが声をそろえて笑った。