複数作品応募いただいた中で他の応募作は落選する内容でしたが、受賞作は続きがすごく読みたいと思いました。冒頭1ページ目から次のページをめくりたくなるしかけ・アイデアがあり、まさに「1章だけ大賞」にふさわしい前のめりな作品でした。近年、児童文庫で流行のデスゲーム系作品ともまったく違った新鮮さを感じ、文体やキャラなど課題はありますが、それ以上に続きや結末がどうなるのか楽しみです。
冒頭から短いページ数の中に物語のゴール、主人公の動機、主人公の行動がきれいに書かれていて、各キャラの最初の登場シーンもよかったです。続きや結末を考えたときに少し修正の必要がありますが、現状の原稿のいい部分を残しながらベストな1章をめざしましょう。男女の「恋愛」にまつわる作品はみらい文庫でも豊富なジャンルなので、既存の作品とはまた違った個性的な作品を期待しています。
文章のリズムが心地いい。みらい文庫大賞でも「文章がていねい」な作品はよく見かけますが、ひとつひとつのセリフに力があり「文章がかっこいい」作品は珍しいので強みとして活かしてほしいです。「大人も楽しめる」という副次的な視点ではなく、まずは小中学生に向けて書くということができれば、児童文庫市場には類のない作品が書けると思います。
複数作品応募いただいた中でどの応募作も1ページ目から次のページをめくりたくなる導入で児童文庫をしっかり研究していると感じました。文章の基礎力は高いのですが、どの作品も作家としての芯の部分が見えづらく、器用貧乏な印象も受けました。筆力はあるので、書きたい題材やキャラを自分で明確に捉えられれば、さらにいい原稿が書けるはずです。
行儀のいい品行方正な応募作が多い中で、同時に応募いただいた『筋肉ことわざ辞典』も含めて自分の書きたいことを書き切っています。「おもしろかったらなんでもアリなんでしょ!?」というツッパリ感に好感を持ちました。担当として刊行をめざして打合せしていく中で本当になんとかなるのか不安ですが、とにかくがんばりましょう。いや、楽しみましょう。