集英社みらい文庫1章だけ大賞 2025

冒頭だけで「あ、この話読んでみたい!」と思えるような“作品の最初の最初”を募集しています。イメージは、「ここから物語が始まる!というところ”まで”」。キャラクターだけ、設定だけ、出会いだけ、アイデアだけ…どんなものでも、あなたの「こういうの描きたい!」がギュッと詰まったものを届けてください。
大人向けの小説で刊行歴のある作家さん。他社の児童向けで刊行歴のある作家さん。フィクションは書いたことがないけれど、ピンとくるテーマがあった方。デビューしたけど、2作目以降が刊行できていない作家さん…どなたでも、ご応募お待ちしています。

結果発表

今回の「1章だけ大賞」では、昨年を上回る266本の応募がありました。
部門を分けることで、毎年行われている「みらい文庫大賞」とは一味ちがった切り口やアイデアも多く届き、皆さんの「これ面白くない?」の提案にお応えさせていただくような気持ちで、編集部一同楽しく選考いたしました。

今回はスリル部門から大賞が出ました。ぜひ担当と一緒に、作品完成を目指していただければと思います。また、最終選考に残った投稿作についても、選評つきで発表いたします。

いよいよ12月1日からは、第16回みらい文庫大賞の応募受付が開始となります。 賞には及ばなかった投稿作についても、1章だけでは伝えきれない魅力がきっとあるはずです。 ぜひ最後まで形にして、みらい文庫大賞へご応募いただければ幸いです。

  • キュンとする!エモ恋部門
  • ハラハラ度MAX‼スリル部門
  • クセつよキャラ大歓迎♪ コメディ部門
  • 小学生に人気! 子どもに身近なもの部門
キュンとする!エモ恋部門
部門の総評

たくさんのご応募ありがとうございました! エモ恋部門は、「心をつかむ胸キュンシーンを描くこと」ができているか、そして「恋をしたことがない、または恋を知ったばかりのみらい文庫読者に向けて描かれているか」を基準に選考を進めました。 どんな物語もそうだとは思うのですが、特に児童文庫では、いかに早く読者の心をつかむか、が重要です。このお話にはどんな胸キュンが、どんな切なさが待っているのか…冒頭からもっともっと魅せてほしかったです。 そして、この物語を読むのは誰なのか、誰の心に刺さる作品にしたいか、という意識も大事だと思います。児童文庫の読者が共感できる恋愛、をぜひいろいろ研究してみてほしいです。

大賞
該当作なし

最終候補作
『恋になるはずじゃなかったのに!』 またり鈴春

お姉ちゃんとお姉ちゃんの男友達に付き合ってほしい、と願う妹が主人公という意外性に惹かれました。 主人公が二人を見てキュンキュンしているところ、そして彼が実は主人公が好きだという展開含めて続きが気になりました!  ただ、文体や表現が少し大人向けな印象なので、小中学生を意識してもらえるとより良いと思います。

『涼風くんは恋しないっ!~人気恋リアイケメン王子の涼風透真が恋しない理由をわたしだけが知っているっ!』 白咲記紗季

人気の恋リア男子が幼なじみだったら……? 誰にも恋しないイケメン男子が、主人公にだけちょっぴりイジワルで素を見せてくる、みんなの憧れシチュエーションにキュンキュンしました。 主人公が現状なにもしていないので、ここからどう恋愛に発展させていくのか、主人公の内面の変化なども見せられるといいなと思います。

『私の初恋リベンジ!』 星乃びこ

明日から高校生……のはずが、中学1年の自分にタイムリープ!?中2のときに突然いなくなってしまった初恋の人と今度こそ初恋をやりなおせるのか、というストーリーだと思うのですが、 タイムリープしたところで終わってしまっているので、どんな話になるのかまだわかりませんでした。冒頭にもドラマがほしいです!

『椿くんには、かなわない』 夕空海

超ツンデレ男子の椿くんに必死でくらいつく主人公の健気でかわいいところに好感を持てました。 二人の会話もテンポよく進んでいくのですが、少し既視感を感じるセリフやシーンが多い印象でした。 椿くんの魅力がもっと印象に残るようなオリジナリティのある見せ場が作り出せると、もっと面白くなる作品だと思います。

ハラハラ度MAX‼スリル部門
部門の総評

多くのご投稿、誠にありがとうございました。意欲的な作品が多く、楽しく読めました。 今回はプロの作家の方々からのご応募も多くいただきましたが、「対象読者にどのような作品が求められているのかを研究する姿勢」も常に必要になってきます。 児童文庫を実際に読んでいただき、多くの工夫やテクニックに気づいていただければと思います。 それらを踏まえたうえで、作品の方向性を読者層にしっかりと合わせていっていただきたいと感じました。

大賞
『AIくんはいじめゼロの教室をツクリタイ』
柚月しずく

AIのカウンセラーがいじめを撲滅するホラー作品。AIの技術が飛躍的に進歩するなか、実際に存在しそうな設定と、小学生の悩みがうまくマッチしており、アイディアがとてもよかったです。 ショート作品としては十分に楽しめる内容ですが、長編作品として展開する場合は、さらに物語を広げる要素や、キャラクターの成長、世界観の深掘りなどを加えることができるかが重要となりそうです。

最終候補作
『インターネット・マンダラ』 丸玉庭園

「SNSバズり競争×デスゲーム」という、大人にとってはどこか身につまされるような斬新なアイディアが印象的で、面白く感じました。 児童文庫のメインターゲットとなる読者層は、X等のSNSは年齢制限などの理由から使用できないので、そこがミスマッチに感じました。 SNS上の大喜利のような言葉遊びだけでなく、身体を実際動かすアクション要素や展開にできるかどうかがポイントになりそうです。

『いっしょに帰ろう』 水あめり

ホラー特有の女子同士のイヤな雰囲気や不穏なムードがよく描けており、「怖さ」をしっかり意識できていて好感が持てました。 著者の得意分野や、関心事などのエッセンスがあると、より良くなりそうなので、書き手としての強みを積極的に反映してみてください。

『妖怪おしおき代行会社 〜(株)コワイ妖が承ります〜』 梅村ユウ

会話のテンポが良く、キャラクターがよく動いており、楽しく読めました。やや設定が分かりづらかったので、冒頭に読者に端的に説明できるとより良くなると感じました。 勧善懲悪のような話になりそうですが、メインキャラクターの明るい雰囲気と対比的なので、あまり説教くさくならないようなバランスになると良いと思います。

クセつよキャラ大歓迎♪ コメディ部門
部門の総評

編集部に届くみらい文庫の感想のお手紙を読むと、多くの小中学生の読者は明るくて笑える作品が好きなことを実感します。 コメディ部門に送ってくださった方々は、こういった読者のニーズを汲んで応募してくださったのかと思います。ありがとうございます!
人を楽しませる・笑わせるには、サービス精神が重要です。みらい文庫では、初めて小説を読む読者が大半なので、ストレートなキャラクターとストーリーが最も重要です。 一歩届かなかった作品は、ある程度物語を読んできてキャラや物語の型を知っている中高生向け・大人向けになっていた印象でした。 また、小中学生の読者に「文章を頑張って読んでいる」と思わせない、頭にスッと入るような文体の調整が必要かと思います。

大賞
該当作なし

最終候補作
『お相手しましょう騙し討ち~天才詐欺師と少女警察はバトルついでにデートする~』 おんぷりん

小学生の天才詐欺師と、それを捕まえようとする警察少女の奇妙な恋人関係&同居という設定が漫画のようで面白かったです。 ハイテンションすぎて細かなところが流れている印象なので、優香のプロポーズをセンが受け入れた理由や、 センの詐欺のやり口など、納得できてかつ面白い設定を詰め、それをストーリーに反映するとよいかと思いました。

『とっぴ!・コンな恋はお断り』 相葉すずか

秘密の血筋を求められて3人のイケメン兄弟に求愛されるという設定は鉄板で、楽しいラブコメになりそうでした。 主人公は「自分の妖狐体質に困っているいい子」という設定ですが、もう少し個性や魅力が見えるシーンが欲しかったです。 また、物語全体的に真面目さやおとなしさがあるので、ラブコメディとしてクスっと笑えるやりとりがあるといいなと思います。

小学生に人気! 子どもに身近なもの部門
部門の総評

ご投稿ありがとうございました。野球やお菓子、ゲームセンター、英語の授業、歌い手など——皆さんが思う「子どもに身近なもの」を、それぞれの物語に昇華してくださり、とても楽しく選考させていただきました。 今回は大賞の該当作はありませんでしたが、最終候補となった4作はいずれも意欲的で魅力ある作品でした。 大賞との分かれ目となったのは、商業出版を見据えた際の“完成度”、特にキャラクター配置の精度です。 子どもに親しみのある題材を活かしつつ、どんな主人公を立て、どんなキャラをどの役割で周囲に配置すれば読者の心をつかめるか——その観点まで備えられれば、より読者を獲得できる作品となります。 これこそが「題材選び」から一歩進んだ“対象読者の研究”といえるはずです。これからも執筆に励んでください!

大賞
該当作なし

最終候補作
『避球クラブへようこそ!』 小花衣いろは

「避球=ドッジボール」という“小学生といえば!”な題材選びが光る作品でした。 運動が苦手な女子主人公と、爽やかなイケメンのクラスメイトとの関わりから始まる導入も児童文庫の定番構造をよく研究されています。 惜しいのは、題材と読者層の相性。男子人気の強いテーマゆえ、主人公設定を工夫できるとさらに広く読者を惹きつけられそうです。

『小学生の電車運転士になろう!』 村井翔

「電車」という男の子向けの王道テーマを巧みに扱った作品でした。筆力があり、1章内で続きが気になる引きを作る手腕も鮮やかです。 「廃車になった鉄道をパラレルワールドで運転する」という設定は魅力的ですが、やや大人向けの印象も。 小学生読者には「懐かしさ」より「ワクワク」を刺激する方向へ発想を広げると、より惹きつけられるはずです。

『ライバルはトップアイドル』 花千世子

「VTuber」という旬の題材をうまく捉えており、市場をよく研究していると感じました。 犬猿の仲のイケメンが、実は主人公のVTuber姿のファンという設定も王道で魅力的です。 ただし、1章の中で主人公の成長軸や目的、読者から見た男子キャラの“推しポイント”まで示せると、より印象的な物語になったでしょう。

『ホキゾキン』 まだらさび

「教室の掃除」という、まさに小学生に身近な題材が良かったです。 ほうきをもじった主人公の名前や、掃除好きでパワフルなキャラ設定も印象的でした。 ただ、読者が共感しにくい点が惜しいところ。 ホキちゃんの魅力を外側から見る“語り手役”を置くと、読者が物語に入りやすく、キャラの個性もより際立ったでしょう。

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