第3回集英社みらい文庫大賞、結果発表!!


厳正なる選考の結果、以下の三品が受賞作に選ばれました。

大賞:該当作なし

※ペンネーム50音順

優秀賞:「オリオン☆スター」
かわいつくし(藤井霞名改め)
【受賞コメント】
この度は、優秀賞という身にあまる賞をいただき、選考委員の先生方、編集部の方々、選考に携わった全ての方に感謝いたします。
児童文庫というジャンルが大好きで、まずは一作応募しようと書き上げたのが「オリオン☆スター」でした。受賞の知らせを聞いたときは、喜びよりも驚きでいっぱいでした。
今後は、読者の皆さんがワクワクしたり、心ときめくような物語を作っていきたいと思います。未熟な私ですが、作品とともに成長していけるよう、がんばります。
【あらすじ】
中学二年生の来夢は超能力者。ある日、予知夢と知らずに助けた少年は、いま大人気の男子アイドルグループ「ORION(オリオン)」の煌だった。数日後、煌と再会した来夢は、思いがけないことを頼まれて……!?
優秀賞:「私がアイドルになれない理由。」
野々村 花
【受賞コメント】
この度は優秀賞に選出頂き、ありがとうございます。夜な夜な1人で書いていた物を、読み、評価して下さった方がいるのだと思うと、とても幸せです。なんとなく、今回受賞できたのは、いろんな意味で運が良かっただけなんじゃないかという気がしているのですが……でも、受賞は受賞。与えて頂いたチャンスを最大限に生かし、次は小中学生の読者に「面白い!」と思って読んでもらえる日を目指して、日々精進していきたいと思います。
【あらすじ】
中学1年生の渡辺菜々美には、だれにも言えない秘密がある。それは、ひそかに
アイドルを目指していること。ところがある日、教室の机の中に「渡辺菜々美は
アイドルになれない」と書かれた手紙が入っていて……。
期待賞:「トイレの(すきまの)ハナコさん!?」
一ノ瀬 三葉
【受賞コメント】
賞をいただけて、本当に夢のようです。受賞へと導いてくださった先生方、編集部の皆さま、ありがとうございました。ここで立ち止まることなく、もっともっと楽しい話を世に送り出せるよう、全力で頑張ります。
【あらすじ】
ある日、小5の九(ここの)は旧校舎でトイレのハナコさん……ではなく、ナゾの女子高生“ハナコさん”に遭遇。ハナコのいる、すきま世界に入りこんでしまい「幽霊郵便屋さん」を手伝うことになったけれど!?


6月吉日、都内の会場にて選考委員が行われました。
三次選考を通過した3作品についての2時間に及ぶ議論の末、大賞の該当作はなし、優秀賞2作、
今回は特別に期待賞1作、計3作の受賞が決定いたしました。
以下、先生方にいただいた選評です。(50音順)

あさのあつこ先生 『新人であることの意味を。』

みらい文庫大賞も今回で三回目となりました。今回は、三作が最終候補作品として手元に届きました。どの作も、よく書き込まれ、まとまっている。それが一読したわたしの感想です。

しかし、まとまってはいるものの、いや、まとまっているからなのか、強烈に印象に残り、どんな意味ででも後を引くといった作品には巡り合えなかった気がします。

毎年、多くの新人がデビューするこの世界。その内の何人が一年後、五年後、十年後まで書き続けているでしょうか。賞を受賞することはスタートラインに並ぶ資格を得たということに過ぎません。

これから先の過酷なレースにどう挑み、己の武器をどう磨いていくのか、しっかり考えて欲しいと思います。

既成の物語の枠を破り、新しい物語の萌芽を促してこその新人です。それができないなら、新人の意味はありません。前置きが長くなりました。ごめんなさい。

「トイレの(すきまの)ハナコさん!?」
軽快な文章、他人より少しずれた発想、ユーモアのセンス。幾つもの才能を持った方だと感じました。しかし、いかんせん、自分の創り上げた世界を自分のものにできていないのです。二つの世界をあっさり行き来し、たいした葛藤もドラマもありません。戦闘場面も凡庸です。書き手としての自分の魅力とは何か、じっくり考えてもらいたいです。

「私がアイドルになれない理由。」
これも達者な作品でした。アイドルになりたくて悶々とする奈々美はなかなかに魅力的でした。けれど、いささかパワー不足というか、既成の可愛いの価値観にからめとられ、作品自体が大きく羽ばたけない窮屈さを感じました。このテーマなら可愛いの意味に、作者が本気でぶつかっていってもらいたかったです。世の常識や概念に罅を入れてこその新人ですよ。犯人の正体にも一工夫を。三山があまり魅力的でないのが残念でした。

「オリオン☆スター」
この方も読ませる作品が書ける方です。貴重な才能でしょう。ただ、読んでいる間中、既視感を覚えていました。それは、主人公の造形やストーリーそのものが、作者個人の内を通っていないからでしょう。達者な書き手ほど頭だけで書いてしまいます。せっかくの能力をかっこいい男一人のためにしか使わないなんて、もったいなさ過ぎます。スケールが小さく縮こまってしまった感がありました。犯人も、もう少し、伏線を張っておかないと、あまりに唐突過ぎます。でもお祖母ちゃんやお母さんの人物像は愉快で、面白かったです。

石崎洋司先生 『もっと〈悪意〉を!』

最終選考に残った三作品は、過去二回に比べて「より児童文庫らしい」作品だった。以前の選評にも書いたように、児童文庫では「コンサバティブ」な物語であることが必要である。文学好きの大人には「ありきたりのカレーライスやハンバーグ」にしか見えないかもしれないが、子どもはカレーライスやハンバーグが大好きなのだ。児童文庫がそういう体裁をとるのは「善」である。が、子どもはグルメでもある。一見ありきたりでも、そこに「他にはないスパイス」を加えて「他にはない物語」に仕立てなければ、見向きもされない。では、その「スパイス」とは何か。

かつて、サッカーのブラジル代表のキャプテンも務めたドゥンガ選手が日本でプレーしたとき、日本のサッカーは上手いが「悪意(マリス)」がたりないという趣旨のことを口にしたことがある。そう、それこそが、児童文庫に必要なスパイスである。

「私がアイドルになれない理由。」と「オリオン☆スター」は、自称「地味な」どこにでもいそうな女子を主人公に、学校でよくありそうなアイドルネタを軸に進む。同級生などのキャラも心情も上手に書けていて物語的な破綻もない。新人賞応募作として、大きな瑕疵のない作品だ。が、作者に「悪意」がない。読者に「きっとこうなるんだろうな」とか、「こいつが犯人なんだろうな」と「誘導」する意図がない。「実はこうでした~」と読者を裏切ってやろうという意図もない。だから決定的に「弱い」。

一方「トイレの(すきまの)ハナコさん!?」は、その「ありがちな線をねらった感」満載なところに、とても期待した。ありがちなものこそ、逆手に取りやすいからだ。が、やはり「悪意」は感じられなかった。既成のネタをあえて使ったなら、それを利用して、ホラーの線でもコメディの線でもいいから、物語的にわざと「逸脱」しなければならない。

みんな上手くなったと思う。児童文庫はライトノベルとは違うということが浸透しつつあることも感じる。それなら、もっと驚かせよう。もっと笑わせよう。「メアリー・ポピンズ」や「くまのパディントン」や「オズの魔法使い」のように!

中村 航先生 『みらいの書き手』

 最終選考に残った三作は、大賞に推すには力不足だった。とはいえ三作ともそれぞれに魅力があり、作者の今後には期待している。今後、編集者とともに精進して、みらいの良き書き手になってほしい。

「トイレの(すきまの)ハナコさん!?」は、日常に潜むちょっとした〝すきま〟から、主人公の不思議なミッションが始まる。現実世界と異世界を行き来する小学生の主人公は、仲間や敵と出会い、成長していく。読者は楽しくページをめくることができるだろう。

ただ筆力や構成力には難があった。面白いストーリーやエピソードを思いつくと、ついついそれを優先して筆を進めてしまう。キャラクターや世界観を掘り下げ、主人公の心理をじっくり追うと、もっといい作品になると思う。

「わたしがアイドルになれない理由」では、アイドルになりたい主人公が成長していく様が描かれている。合唱コンクールや友人や先生とのやりとりなど、実際の中学生活と変わらない世界で、ちょっとした謎が生まれる。日常系のミステリーというのは過去の候補作のなかで新鮮だったし、好感をもって読めた。

ただ、その謎の答が安易だったように思う。この答でいくならば、作中でもっとやるべきことがある。また別の答も考えられるかもしれない。

「オリオン☆スター」は妄想爆発、超能力を得た主人公が、男性アイドルグループの護衛をする話だ。主人公は自分の能力に気付き、とまどい、頑張り、ピンチに陥り、決心し、やがて目的を果たす。わかりやすくてシンプルなストーリー。三河弁のおばあさんのキャラクターもいい。

ただあまりにも単純すぎやしないだろうか。アイドルや主人公の心理の描写を、もう少し頑張るだけでも違うと思う。主人公のどきどきやわくわくではなく、読者のどきどきやわくわくをもっと意識しよう。

深沢美潮先生 『もっと印象に残るキャラクター作りを!』

いずれもとても読みやすく、ていねいに描かれた作品ばかりで、とても好感が持てました。ただ主人公に魅力がないのが気になります。もっと印象に残るような人を生み出してってほしいですね。それも、「わたしは地味だ」など、自分で言ってしまうのではなく、その言動やエピソードでわからせてってください。そうすれば、もっと生き生きしたキャラクターが作れる思います。

「私がアイドルになれない理由。」
一番地に足が着いた、日常を描いた作品だと思います。日本独特の湿り気といいますか、個性が感じられました。だからこそどんな些細な点も見逃さず、きっちりリアリティを持って仕上げていってほしかったですね。なぜそんなにもアイドルになりたかったのか、オーディションに応募し、その結果をドキドキしながら待っているのはわかるのですが、その動機がわかりませんでした。その辺ももっと掘り下げてみてください。きっともっと説得力のある作品になると思います。

「オリオン☆スター」
エンターティンメント性がある一番まとまった作品に思えました。ただ、あまりにもこの特殊能力をみんながすんなり受け入れていること、マイナスの要素がないため、スリルに乏しいこと、犯人に意外性がなかったことが残念でした。でも、女の子だったら一度は憧れるような立場の人になれる!という疑似体験はきっと読者の皆さんの共感を得られると思います。

「トイレの(すきまの)ハナコさん!?」
テンポ感のいい作品。主人公の印象がもうひとつなのと現実と隙間世界との行き来も説得力がなかったです。後、最後の戦いがあまりにあっけなかったのが引っかかりました。それぞれの登場人物を掘り下げ、魅力を持たせればもっともっと楽しい作品、ワクワクできる作品になると思います。一番最初に読んだ作品だったのですが、すんなり読んでいくことができました。筆力の高い人だと思います!

☆編集部より☆
ご応募いただきました皆様、ありがとうございました。 今回は残念ながら大賞該当作はなく、二作品に優秀賞を受賞、一作品に特例として、今後への期待をこめた賞を贈ることになりました。 毎回、最終選考に残ったすべての方に担当編集者がつき、「集英社みらい文庫」からのデビューを目指していただいています。 今後も、小・中学生読者を喜ばせる、パワーあふれる作品をお待ちしています!

第4回の募集詳細につきましてはこちら。
※選考についてのお問い合わせには一切お答えできませんので、なにとぞご了承ください。

第三次選考を通過されましたのは、以下の3作品です。

※敬称略、順不同
タイトル 氏名(ペンネーム)
オリオン☆スター 藤井 霞名
トイレの(すきまの)ハナコさん!? 一ノ瀬 三葉
私がアイドルになれない理由。 野々村 花


第二次選考を通過いたしましたのは、以下の9作品です。

※敬称略、順不同
タイトル 氏名(ペンネーム)
オリオン☆スター 藤井 霞名
キラキラ☆ガールズヒップホップ 滝井 幸代
マリオネット×探偵団! 秋元 晴巳
とげまる 伊藤 英彦
天狗の小太郎 重松 弦太郎
メロディ 魔法学園物語 野原 はるか
トイレの(すきまの)ハナコさん!? 一ノ瀬 三葉
空飛ぶ花火とモチの風船 宮川チャック
私がアイドルになれない理由。 野々村 花


第一次選考を通過いたしましたのは、以下の31作品です。

※敬称略、順不同
 
タイトル 氏名(ペンネーム)
ほら、大きくなったらさっ! やぐちひろかず
クマ、ツル、リン! 春間 美幸
戦慄のお笑い教室 ひろみ透夏
リンケージ~絆~ 高田 在子
宵待荘で待ってるよ 真風 月花
サンタさんから問題です てり
穴ほりゴンタの夏の夜の秘密 飯島 勇
「ボク、タマ。」 南葵農園
おやじマーメイド 中村 ルミ子
PLANET-A ichiken
とげまる 伊藤 英彦
天狗の小太郎 重松 弦太郎
夢探偵Yジロー 南野 海
メロディ 魔法学園物語 野原 はるか
野球部は人気者 嘉瀬 陽介
ぼくの幽霊ママ 橋村 明可梨
王子様も悪くない! 夜野 せせり
あなたの願いかなえます 広都 悠里
トイレの(すきまの)ハナコさん!? 一ノ瀬 三葉
真夜中の木琴 池田 理香
ギフト 明孝 木立
ひととまのファミリア 麻倉 はるか
空飛ぶ花火とモチの風船 宮川チャック
うちはレーガン大統領家 幕田 麻里
音羽と共に 井澄 せな
龍神山にサクラ舞う 小林 功治
私がアイドルになれない理由。 野々村 花
JUMP!ぼくらはこうして進化する 長瀬 由季
㈱新撰組 河端 朝日
金糸雀は鳴かない 十見坂 星樹
きゅうじゅうろく 石神 ケン